佐藤優さんがSPA!で述べたところによると、
小沢対検察という図式は、つまり政治家対官僚の戦いだそうです。
意志決定から退けられて久しい、官僚達が、
「今意志決定をしている政治家達はこんなに悪い奴なんだ」
と国民に知らせるために操作をしているそうです。
おっしゃるとおりで、多分それは正しいのでしょう。
しかし、であるのであれば、私は官僚達が勝って欲しいと思います。
官僚組織のやることには常に「合成の誤謬」
が起こりうるという危なっかしさがありますが、
政治家達はそもそも合成して考えることすらしません。
民主主義国家ではそもそも、
政治家が合成して考え、政策を実行することは結構困難です。
小泉さんは結構実現できましたが、
色んな人の色んな異論を、自分の考えに取り込み、
あたかも自分の政策が実現したように取り繕ったところがあります。
そんなところも政治家としては優秀なのですが。
安倍晋三さんは、小泉さんの権力基盤が、自分に引き継がれたものと、
信じ込み、合成の誤謬を正し、
あるべき方向へ導こうとしましたが失敗しました。
彼の失敗は、小泉さんの権力の源泉が「内閣総理大臣」という地位にあったと
思いこんでいたことだと思います。
小泉さんは小泉さんだからできたのであって、
安倍晋三さんが「小泉さん」を引き継ぐことはできませんでした。
次の福田康夫さんは、自分に権力がない事を自覚しつつ、
慎重にできる範囲で、仕組みを変えようとしましたが、
権力がないので失敗しました。
福田さんはそこまでわかっていたのだと思います。
退任会見でやらかしてしまった
「私は自分自身を客観的に見ることはできるんです」
というのは、案外客観的に見て正しいのではないかと。
麻生さんは人間的には陽性でしたが、
何をやりたいのかよくわかりませんでした。
多分内閣総理大臣になりたかったのでしょう。
鳩山さんは、何をやりたいのかよくわからないところもありますが、
多分演説に全部書いてあります。
つまり、「きずな」あふれる友愛社会を作りたいのです。
でも友愛社会って何? というのが一般人の反応で、
どうやったらできるのかがさっぱりわかりません。
「衣食足りて礼節を知る」とでも言いたいのでしょうか。
だったら補助金をばらまいている意味がわかります。
どちらにしろ、「合成の誤謬」以前の問題の
危なっかしさを感じるのです。
では小沢さんは何をやりたいのでしょうか。
グランドキャニオンには柵がない、というのは
93年に小沢さんが書いた日本改造計画の有名な一説です。
減税して、自己責任の自立した日本社会を作ろうとしたのですが、
そういうことは小泉さんまでの自由民主党が結構やってしまっています。
そこで反省して猛者したから、
日教組や連合と仲良くなって、
「国民の生活が第一」となったのでしょうか。
小沢さんが何をしたいのかがよくわかりません。
昔は国連軍を作りたがっていたので、
イラクには行かないまでも、スーダンやアフガニスタンに
派兵するのかと思っていたのですが、
民主党が政権を取ってから、そんなことを言い出さなくなりました。
小沢さんというのは、その時々で、受けの良い政策を拾って、
アッピールしているように思えてならないのです。
小泉さんはポピュリズムだとよく批判されていましたが、
そんな程度の話ではない。
今の小沢さんの頭の中にあるのは、
田中角栄の晩年と、金丸信の晩年でしょう。
小沢さんはその両方に密接に関わりました。
両名とも汚職で公職を去りましたが、
田中角栄が権力を十数年牛耳ったのに対し、
金丸信の晩年はそれはそれは寂しいものでした。
身の引き際には人によって差がありますが、
小沢さんは金丸さんのようにはなりたくないでしょう。
金丸信は、経世会会長はおろか、議員まで辞めました。
そこに至るまでに混乱はありましたが、
最期は潔かったと思います。
しかし、権力を放棄したが故に、
晩年は闘病と裁判に明け暮れました。
田中角栄は総理大臣は辞めたものの、
国会議員は辞職せず、「田中派」という権力基盤を
引き続き牛耳ったため、闇将軍として君臨しました。
当時の日本は、自民党の天下で、
自民党の最大派閥を牛耳ると言うことは、
日本を牛耳るのと同義だったのです。
小沢さんは間違いなく、二人の師の晩年を意識しています。
金丸信にはなりたくない、
田中角栄になりたいと強く念じていると思います。
今の「田中派」に該当するものは、
間違いなく「民主党幹事長室」です。
昔のように公的な役職につかなくても影で権力が握れる時代ではありません。
小沢チルドレン達も、小沢さんが幹事長であり、
選挙の公認権を握っているから、小沢さんにひれ伏すのです。
小沢さんは「民主党幹事長」であるためなら、多分何でもするでしょう。
つまり、官僚達は、次は「民主党幹事長」という役職を全力で狙ってくるはずです。
場合によっては、小沢さんと官僚は手打ちをするかもしれません。
しかし、ここまでこじれたら、無条件降伏に近い形でないと、
官僚は納得しないでしょう。
小沢さんの起死回生の策は、間違いなく参議院議員選挙です。
自民党から田村耕太郎が入れば、参院も単独過半数。
さらにこの夏の選挙で勝てば、そのまま禊ぎが済み、
メディアを通して官僚批判をすれば、また受け入れられる土壌ができます。
小沢さんは今が正念場です。
ただ、小沢さんは政治家なのですから、もっと自分の声で、
日本をどうしたいのか言うべきではないでしょうか。


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